公益社団法人 全国出版協会
正式には再販売価格維持制度。出版社が書籍、雑誌の定価を自社で決め、書店などで定価販売ができる制度のこと。出版社と販売会社(取次)、販売会社と書店、それぞれの間で再販契約を結んでいる。
独占禁止法では再販売価格の拘束を禁じているが、出版物に関しては1953(昭和28)年の法改正により、文化・教養の普及の見地から適用除外が認められた。これにより、読者は地域の格差なく全国どこでも同一価格での購入が可能となり、出版社は自由な出版活動が守られ、多種多様な出版物の供給が可能となっている。
一方、規制緩和と自由な競争を促す観点からその見直しを迫る公正取引委員会(公取委)と出版業界との間で、制度の維持と運用方法についての度重なる議論が行われてきた。
1980(昭和55)年には、出版物は法定再販の指定商品であるとはいえ、すべてが再販を前提として定めるものではなく、出版社の意志により、再販指定ができる「部分再販」、一定期間後はその指定を外すことができる「時限再販」に改められ、出版業界には、その実施や流通改善などが求められた。
2001(平成13)年、公取委は再販制度を「当面残置」するという結論を発表した。現在、出版業界では、謝恩価格本セールの拡大や部分・時限再販の実施、雑誌の年間購読割引実施などの制度の弾力的運用を進めるとともに、流通改善を図り、真の読者利益につながる方向性の追求を進めている。
日本書籍出版協会HPに「再販制度」について詳しく説明されています。
https://www.jbpa.or.jp/resale/
出版社・販売会社(取次)・書店の三者での契約に基づき、定められた期間内であれば書店は売れ残ったものについて返品が認められる出版物販売方法。日本の出版物の大半がこのシステムを利用している。メリットとしては、「書店は安心して仕入ができ、様々な出版物を積極的に陳列できる」「出版社は多くの書店店頭で現物の本で宣伝ができる」などが挙げられる。例えば学術書など、読者が限られるために発行部数が少ない書物であっても書店の棚に並べられることを可能にしており、国民の知識の維持・向上に寄与することにつながっている。
書籍では大學館が1908(明治41)年に、雑誌では実業之日本社が1909(明治42)年に『婦人世界』新年号より初めて導入したと言われ、大正時代には既に一般化するなど古くから取り入れられてきた背景がある。
一方、負の部分として返品の増大は出版業界にとって大きな問題となっている。多種多様な出版物の刊行は豊かな文化の表れと言えるが、適切な販売マーケティングを欠いた発行点数・冊数の増加は、限りある書店店頭の飽和状態を招き、個々の出版物の陳列期間を短くさせ、結果読者の本との出会いを喪失させるという危険も孕んでいる。
出版業界では、委託制度を利用しながら、責任販売制の導入や書店からの受注による配本への転換を進めている。