公益社団法人 全国出版協会

出版科学研究所

出版関連用語集[あ行]

ISBN(アイエスビーエヌ)

「International Standard Book Number」の略。世界共通で使用される書籍を特定するための番号であり、日本語では「国際標準図書番号」と呼ばれる。前身はイギリスで開発されたSBNであり、国際標準化機構(ISO)で1970(昭和45)年に採用された際にISBNになった。日本では、1981(昭和56)年から発行出版物へのISBN登録(日本図書コード)が開始された。2007(平成19)年にそれまでの10桁から13桁で表すようになった。

「出版物のコード」参照

ICタグ

無線機能付きチップに商品データを書き込み、非接触の電気的信号で送受信するもので、バーコードの後継と目されている。出版業界においては、万引き防止対策、流通改善の観点から一部導入されている。

芥川賞(芥川龍之介賞)

作家・芥川龍之介の業績を記念して、友人であった文藝春秋創業者の菊池寛が1935(昭和10)年に直木賞とともに創設した賞。現在は日本文学振興会により運営されている。新人作家が発表した純文学の中・短編作品が対象。年2回発表で『文藝春秋』3月号・9月号に掲載される。

「朝の読書」運動

全国の学校で行われている、始業前に10分程度の読書の時間を設ける運動。1988(昭和63)年、千葉県の私立高校で林公(はやしひろし)・大塚笑子両教諭の提唱・実践をきっかけに、95年より取次のトーハンが支援し、97年に朝の読書推進協議会を設置、日本全国に広まった。4原則 1:みんなでやる 2:毎日やる 3:好きな本でよい 4:ただ読むだけ(「朝の読書4原則」)の自由な読書は、全国26,500校以上(全体の約76%)の学校で実施されている。(2020年3月現在)

委託販売制度(委託制度)

出版社・販売会社(取次)・書店の三者での契約に基づき、定められた期間内であれば書店は売れ残ったものについて返品が認められる出版物販売方法。日本の出版物の大半がこのシステムを利用している。メリットとしては、「書店は安心して仕入ができ、様々な出版物を積極的に陳列できる」「出版社は多くの書店店頭で現物の本で宣伝ができる」などが挙げられる。書籍では大學館が1908(明治41)年に、雑誌では実業之日本社が1909(明治42)年に『婦人世界』新年号より初めて導入したと言われ、大正時代には既に一般化するなど古くから取り入れられてきた背景がある。

「出版業界を支える制度(再販制度と委託制度)」参照

委託品

委託販売制度の対象商品。普通委託品・長期委託品・常備寄託品がある。

一般誌

全雑誌のなかで、週刊誌、コミックス、ムック、計画誌を除いたすべての雑誌。

印刷証明付発行部数

日本雑誌協会が四半期ごとに公表している雑誌の1号あたりの平均印刷部数。雑誌の信頼性を高めようと、雑協が自己申告(公称発行部数)ではない部数公表制を導入、第三者機関からの守秘義務解除の要請に応じた雑誌の印刷部数証明をもとに公表しているもの。

印税

出版社が、著者に支払う著作権使用料のこと。著者と出版社の契約に基づき、出版部数に応じて支払う。出版物の印税は、定価と印刷部数、または実売部数に契約時の%をかけて算出する方法が一般的。大手出版社では10%が多いと言われるが、会社の規模、著者によって様々である。

家読(うちどく)

家庭内での読書活動。学校での「朝の読書」運動を実践している子どもたちの声をもとに2006(平成18)年に「朝の読書」の家庭版として取次のトーハンが提唱した読書推進運動。核家族化により、家族関係が希薄になってきたことから、親子で同じ本を読み、それぞれが読んだ本についての感想を話し合うなど本をコミュニケーションツールにして、読書の習慣化や家族間のコミュニケーションの円滑化を図ろうとするもの。全国各地の自治体が取り組む運動としても定着してきている。

売上カード

売上スリップの片側についており、書店から出版社に送られ、売上データ集計や書店への報奨などに使用されるもの。現在ではPOSデータやSA機器により代用されることが多い。

売上スリップ

=スリップ

ABC公査

大量部数の雑誌を発行している出版社が加入している、日本ABC協会の査定のこと。季節的売れ行き変動を勘案して、6ヶ月平均の販売部数を公査し、第三者による信頼できるデータとして公表している。広告料金を決める際の参考資料として利用されている。

奥付

本の巻末に記載されている、書誌情報が記述されている部分。書名や著者名、発行者、発行所または出版社、印刷所、発行年月日、版数、刷数、価格などが印刷されている。法令として記載するよう定めたのは、1722(享保7)年に江戸南町奉行の大岡越前守忠相が猥褻書の取締りのために発した御触書が最初。以後この規制が存続し、出版法、新聞紙法にも規定された。1949(昭和24)年に出版法が撤廃されたものの、現在も慣習として続いている。特に決まった形式はない。

オーディオブック

小説やビジネス書など書籍の本文をナレーターや声優などが朗読し、音源化したコンテンツの総称。日本では1980~90年代にかけてはカセットブック、カセット文庫、CDブックとしての販売が主であったが、2000年以降はインターネットの普及によりWeb上やアプリから、音声ファイルをダウンロードするのが主流となっている。

本の表表紙から裏表紙にかけて、帯状に付ける紙のこと。「帯紙」または「腰巻(こしまき)」と呼ぶこともある。本の内容や特徴を解説したり、キャッチコピーや推薦文を載せるなど宣伝を目的として付けられることが多い。出版社によるキャンペーンが行われる場合、統一の帯を付けて書店に陳列することもある。

オンデマンド出版

出版物をデジタルデータ化し、読者の注文に応じて製作・販売するもの。出版社は重版できずに品切れ、絶版状態にある出版物を、在庫負担なしに必要な分だけ提供することができる。

オンライン書店

インターネットを使った書籍・雑誌の通信販売。ネット書店とも呼ばれる。注文を受けると宅配便で個人宅などに配送される。レコメンド機能や無料宅配サービスなどの発達もあり、近年急成長している。

出版業界の基礎知識

出版関連用語集