公益社団法人 全国出版協会

出版科学研究所

出科研コラム

相次ぐ雑誌の休刊とWebメディア終了から考える

ベースボール・マガジン社の雑誌『ボクシングマガジン』『近代柔道』『ソフトボールマガジン』『コーチングクリニック』は、2022年7月発売号を最後に休刊することが決定した。1956年に創刊された『ボクシングマガジン』と1977年創刊の『ソフトボールマガジン』は現存する定期誌ではそれぞれのスポーツを構成する最後の雑誌だっただけに、惜しまれる。

2022年1~4月期累計の休刊点数は前年同期より2点少ない44点。雑誌の発行銘柄数は2,384点で、ピークだった06年の3,652点から3割以上減った。不定期刊に移行する雑誌や、紙としては休刊しWebメディアに移行する雑誌も多い。 一方で、このところWebメディアでも終了の知らせが相次いでいる。

「note」などを運営するnoteは5月25日、コンテンツ配信サイト「cakes」のサービスを8月末に終了すると発表した。スマートニュースの子会社・スローニュースも同日、定額制のノンフィクション読み放題サービス「SlowNews」を7月31日をもってサービス停止すると発表。LINEが運営する報道・言論サイト「BLOGOS」も5月末でサービスを終了した。これらは雑誌を母体とするサービスではないが、無料・有料問わずWebメディアを維持していくのもそう簡単ではないことがうかがえる。

ほかにも、毎日企画サービス(当初は毎日新聞社)が1947年から毎年行っていた「読書世論調査」を終了し、22年度版以降書籍の発行を中止すると発表したことも衝撃だった。当研究所でもたびたびその貴重なデータを引用していただけに残念でならない。

また当研究所への問い合わせでは書店数の統計に関するものも多く、毎年書店数の調査を行っていたアルメディアのデータを紹介していたが、20年を最後に調査事業を終了している。さらに『出版年鑑』を刊行していた出版ニュース社が19年4月に事業を停止したことも業界にとって大きな損失だった。こうした調査・分析は特に、一度やめてしまうと復活させることは極めて難しい。

信頼性のあるメディアであっても、継続していくことは年々難しくなっている。当研究所も、明日は我が身の精神で精進していきたい。(柴田)

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