公益社団法人 全国出版協会

出版科学研究所

出科研コラム

雑誌の付録いまむかし

21年4月、日本雑誌協会による「雑誌作成上の留意事項」が20年ぶりに大改訂され話題となったが、11月には日本出版取次協会から「雑誌搬入上の留意事項」がリリースされた。

これらの焦点となったのは“雑誌付録”だ。現在添付される付録はポスターや冊子だけでなく、バッグやポーチ、果てはキャンプ用の鉄板までバラエティに富んでいる。

そもそも雑誌の付録はいつから始まり、どのような経緯でいまに至るのか。

そのはじまりは1877年に創刊された児童誌『穎才新誌(えいさいしんし)』で、読者の投稿文などを別冊にまとめた小冊子が日本初の付録となった。冊子でない付録では1889年創刊の『小国民』につけられたすごろくが最古とみられる。

その後、冊子やペーパークラフトなど紙製の付録は主流となり、婦人誌などで付録戦争が勃発。1934年、『主婦之友』が512頁にも渡る百科事典のごとき「家庭作法法典」など「十五大附録」をつけ、新聞広告に“主婦之友をお買いになる方は、風呂敷をお持ちください”と載せるなどして世間の度肝を抜いた。

戦後、雑誌市場は1997年をピークに縮小し始める。雑誌の売れ行き回復を図るため、2001年に「雑誌作成上の留意事項」における付録の基準が緩和され、サイズや重量など従来の細かい規定が削除され、トートバッグやプラモデルなどが登場。女性誌では各社トートバッグをつけるようになり付録戦争が再燃。年々新たなグッズがつけられるようになった。
市販の「変身ベルト」玩具などと組み合わせて遊べる“本物玩具”が児童誌につけられたり、保冷バッグが女性誌につけられたりして完売することもあったが、現在はやや落ち着いた。いま人気なのはアウトドアブランドとコラボしたキャンプグッズだ。

「雑誌作成上の留意事項」の改訂でますますアイデアあふれる付録の登場が期待される。こういうものがつけられるのも紙の雑誌の“おもしろさ”のひとつだと言えよう。

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