公益社団法人 全国出版協会

出版科学研究所

出科研コラム

雑誌の「10(イチゼロ)コード」って?

「10(イチゼロ)コード」をご存じだろうか。

雑誌をひっくり返して裏(表4)を見ると、下にバーコードとともに「雑誌 ○○○○○-○(○)」という表記がある。この「雑誌」に続く5桁の数字を「雑誌コード」と言い、それに月号を表す1~2桁の数字をハイフンでつなぐことで、何という雑誌の何月号かわかる。
※詳しくは雑誌コード管理センター「雑誌コードの概要」 http://jpo.or.jp/magcode/info/outline.html

ところで、この5桁の「雑誌コード」にはなぜかこれまで使われてこなかった「10(イチゼロ)」番台(10001~10999)というのがある。18年9月から、この未使用のコードを使って、これまでなかったような雑誌を出そうという実証実験が行われている。

それでは「これまでなかったような雑誌」とはどんな雑誌かというと、例えば18年10月発売の『FGメディア』(ハースト婦人画報社、発刊時は講談社発売)は、バーコード等を印字したビニールでシュリンクすることで両面表紙の装丁を実現した。

他にも『わたしの時間』(世界文化社、19年5月刊)や『with SPECIAL』(講談社、19年9月刊)、『ViVi SPECIAL』(同、20年10月刊)のようにファッションアイテムなどの割引クーポンを付けたもの、『美的スペシャル(女子力UP!プレミアムコフレBOX)』(小学館、18年12月刊)や『小学館ライフスタイル(BE-PAL Outdoor Kit Box はじめての焚き火入門)』(同、19年12月刊)のようにグッズ付録と本誌のデジタル版雑誌(ダウンロードコード)のセットなどが刊行された。

20年7月には、地方版ながら缶詰(食品)付きの分冊百科として『戦国武将メシ缶詰』(デアゴスティーニ・ジャパン)が「10(イチゼロ)コード」で刊行され、話題となった。宝島社も同年から『InRed』『リンネル』『GLOW』など付録が異なる増刊を出している。

しかし最近では、この「10(イチゼロ)コード」を、例えば同じ内容・形態で複数冊刊行するときや返品期限をフレキシブルに設定したい、など目新しさより、これまで流通上不便だった点を解消するという「業界の事情」で使う例が多くなってきている気がする。(水野)

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