公益社団法人 全国出版協会
『出版月報』2021年7月号において上半期の出版市場を発表した。
特に顕著なのが電子出版市場の大躍進で、電子コミックは依然として2割超の好成長を記録した。
近年通勤電車でもスマホで電子コミックを読むユーザーをよく見かけるようになった。
いまやスマホが手放せなくなったと言っても過言ではない現代。
YouTubeをはじめとする動画サイト、TwitterをはじめとするSNS、アプリゲームなどがスマホユーザーの時間を取り合う中、マンガもまたそこに割って入れるほどに存在感を増している。
ちょっとしたすき間時間でも楽しめるマンガは多忙なスマホユーザーと相性がいいのだろう。
そんななか、実業之日本社の『静かなるドン』の電子版が売れているという。
20年2月~21年1月期累計の入金額で6億円超というから驚きだ。
同作品は1988年から連載が開始され、2013年発売の108巻で完結した名作。累計発行部数は4500万部を超えている。
紙の書籍でも最近、1989年刊の筒井康隆『残像に口紅を』(中公文庫)がTikTokで紹介されたことをきっかけに売れている。
これらのような30年以上も前に発表された作品が売れているというのは、いまの読者の目には新鮮に映り、その面白さが通じているということだ。
時代を超えて読まれ方は多様化したが、作品の魅力は決して色あせていない。
知られざる面白い作品を掘り起こす余地はまだまだありそうだ。 (柴田)