公益社団法人 全国出版協会

出版科学研究所

出科研コラム

いま話題?「図鑑」について

12年ぶりに「コラム」を更新。その1回目は「図鑑」についてである。

今年4月に発売された、テレビの「スーパー戦隊」を組織ごとに分類し、学習図鑑の体裁で紹介した『スーパー戦隊』(学研プラス)の売れ行きが非常によい。
最近、テレビ局、新聞社から「図鑑」についての問い合わせが度々ある。近年売れ行きが良いことや話題の図鑑が発売されることに合わせて取り上げるからだろう。

図鑑のイメージと言えば、A4判以上の比較的大判でオールカラー・DVD付きの小学館、講談社、学研プラスなどの児童向け「学習図鑑」や、図書館などに置いてある動物や植物の写真を多数掲載した重厚な専門図鑑を連想されるのではないか。

過去には、様々なものを比較した『くらべる図鑑』(小学館、2009年)や大人向けテーマ別編集図鑑として『世界で一番美しい元素図鑑』(創元社、2010年)などが注目された。
ちなみに、図鑑の過去5年間の発行点数を見ると230点~350点で推移していて、20年は251点、推定発行部数は126万部。

一方で17年にヒットした『せつない動物図鑑』(ダイヤモンド社)、『ビーカーくんとそのなかまたち この形にはワケがある!ゆかいな実験器具図鑑』(誠文堂新光社)などイラストでおもしろく解説したものや『子どもと一緒に見つける身近な生きものさんぽ図鑑』(永岡書店)のような新書判のものなど、書名に「図鑑(ずかん)」と入る書籍は多くある。

写真もないこれらの書籍は、はたして「図鑑」なのだろうか。

『広辞苑 第六版』によると「図鑑」とは、「写真や図を系統的に配列して、解説を加えた書物」となっている。その解釈からすると、イラストを基に解説を加えているから上記の書籍は「図鑑」なのだ。
また、『花の便利帳』(KADOKAWA)のように「図鑑」と書いていないものの、詳細に品種別に解説した、図鑑のような構成の書籍もある。

当研究所では、書名や日本図書コードのCコード(2桁目が6)を参考に「図鑑」など発行形態別に7つに分類し統計を取っている。この作業に意外と手がかかる。

ちなみに「事典」と「便覧」の区別も難しい。その違いわかりますか?

事典:ことがらを表す言葉を集めて、その一々に解説を施した書物。
便覧:見るのに便利なように、簡明に作った冊子。
(『広辞苑 第六版』より)

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