公益社団法人 全国出版協会

出版科学研究所

出科研コラム

08年の新書刊行状況は

ノンフィクション系新書をレーベル毎に分類してみると、教養新書系レーベルの新刊は1,623点で、前年比12.1%増(175点増)。ノンフィクション系新書の点数増、引いては新書全体の点数増の原因が、教養新書の増加にあることは明らかだ。

08年に創刊された教養新書は「ソニー・マガジンズ新書」(ソニー・マガジンズ、34点)、「小学館新書」(小学館、15点)など8レーベル98点。07年の13レーベル142点に比べると規模は縮小した。

しかし、1レーベルあたりの刊行点数は増加傾向にある。刊行点数上位出版社の新刊点数の変化を見てみると、「講談社新書」(講談社)は07年59点が08年70点、「PHP新書」(PHP研究所)は62点が69点、「光文社新書」(光文社)は47点が53点といった具合だ。もちろん点数減に振れたレーベルもあるが、刊行点数上位出版社の新刊点数を比較すると、その部数水準は確実に上がっている。

一方ノベルズをジャンル別に見てみると、08年に刊行された新刊のうち、その4割弱をハーレクイン社の翻訳ラブロマンス小説が占めているのがわかる。次いでボーイズラブ(BL)小説がおよそ2割、シミュレーション戦記ものと一般向け小説がそれぞれ1割強、若者層向けのライトノベルが1割程度、男性向けの官能小説(含む萌え系)が1割弱といった構成だ。

最も刊行点数が多かったのは、ハーレクイン社の528点。BLでは「リンクルロマンス」(幻冬舎コミック)が56点、「ビーボーイノベルズ(含むビーボーイスラッシュノベルズ)」(リブレ出版)が53点、「アルルノベルス」(ワンツーマガジン社)が41点。一般向けでは「講談社ノベルス」(講談社)が50点(ただしこの中には西尾維新など一部ライトノベルも含まれている)、官能小説では「パラダイムノベルス」(パラダイム)が41点、シミュレーション戦記では「歴史群像新書」(学習研究社)が76点と、それぞれ各ジャンルにおいてダントツに点数が多い。ライトノベルは「トクマ・ノベルス・エッジ」(徳間書店)が38点、次いで「C・NOVELS ファンタジア」(中央公論新社)が27点となっている。

教養新書はブームが一段落し、ジャンルを牽引する強いタイトルが不在。ノベルスにしても、売れ行きは振るわない状況が続いている。

各社この現状を踏まえ、今後どのような施策を打ってくるのか注目される。

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