公益社団法人 全国出版協会
売れ行き良好書のランキング(ベストセラーリスト)は方々で発表されているが、例えば小説でも、「ミステリー」や「恋愛小説」などジャンルを限定したランキングを見つけるのは難しい。内容別のランキング作成には時間のかかる手作業が伴うため、なかなか出しにくいというのが現状なのだ。
その内容別売れ行き良好ランキングを、今回「時代小説」ジャンルに絞って作ってみた。集計は著者毎、調査対象期間は07年1~12月期、( )内は期間内に売れた代表作だ。
時代小説は文庫が中心の市場であるため、上記リストもほとんどが文庫。1位の佐伯泰英は文庫書き下ろしが基本で、推定販売部数・金額とも、2位以下に倍以上の差をつけている。2位の藤沢周平は映像化原作となる機会も多く、ここ数年女性層などに人気が急上昇中だ。3位の司馬遼太郎は豊かな知識に基づく歴史観に根強いファンが多く、4位の池波正太郎もまた変わらぬ人気を誇っている。異色は5位の畠中恵。ファンタジックな作品が多く、ライトノベル化する最近の時代小説を象徴する存在となっている。