公益社団法人 全国出版協会

出版科学研究所

出科研コラム

age嬢、ギャル 成長著しい中堅出版社の女性誌

販売金額が10年連続マイナス、有名誌の相次ぐ休刊、広告収入の減少など暗い話題ばかりが目立っている最近の雑誌状況。好調な雑誌やジャンルも限られるようになってきている。

そのなかで分冊百科と並び比較的頑張っているジャンルが、10~20代向けギャル誌を中心とした女性ファッション誌だ。女性ファッション誌は年齢層が上へ行くほど発行・販売ともに動きが重いが、10~20代向けファッション誌は付録添付なども盛んで何かと話題が多い。

特にファッション誌では『小悪魔ageha』(インフォレスト)の勢いがめざましい。06年の創刊当時は推定22万部だった発行部数が現在35万部にまで上昇。創刊時はキャバクラ嬢ファッションの教科書的存在として夜に働く女の子から支持が高かったが、最近は女子大生、主婦、OLなどにまで読者層は大きく拡大。誌面には斬新でユニークな企画、キャッチコピーが目白押しだ。

また、同社が刊行しているギャル誌『ハピーナッツ』と『ageha』のコラボ企画としてギャルママ向けに『ママ ナッツ×ageha』が08年9月に発売された。ギャルママに特化した雑誌は今回が初めてだ。

このほかにも『Popteen』(角川春樹事務所)が40万部、宝島社の『sweet』46万部、 『spring』35万部、『InRed』32万部と中堅出版社から発行されているファッション誌の部数は今かなり高い水準へと達している。『with』(講談社)、『MORE』(集英社)、『CanCam』(小学館)といった50~60万部を発行している大手出版社の女性誌に迫る勢いだ。

ギャルファッション誌が支持されている一番の要因は、読者目線の丁寧な作り。上からでも下からでもない、読者と同じ立ち位置での雑誌作りを各誌心がけているため、特集やキャッチコピーひとつにしても響くものが違うのだろう。雑誌から何か大きな話題やブーム、ムーヴメントが起こるとそれが波及し、書店に人が来る→ついで買いなどで他誌へも波及→店頭も活性化、といった明るい動きが生まれる可能性もある。

雑誌にとって厳しい時代とはいえ、作り手側も悲観ばかりせず、“読者のために”という原点を忘れないことが肝要と思われる。

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