公益社団法人 全国出版協会

出版科学研究所

出科研コラム

“長寿”雑誌と雑誌の起源

現在、日本国内で刊行されている雑誌の中で最も“長寿”の雑誌(一般誌)は『中央公論』(中央公論新社刊)である。同誌は1887年(明治20年)12月10日に、『反省會雑誌』というタイトルで創刊された(これ以前の1887年8月にも〈首巻号〉が発売されているが、雑誌として定期刊行が開始されたのは12月から)。当初は学生有志で組織された会の機関誌としてスタート、定価は3銭だった。

同誌の“年齢”は08年1月現在、満120歳ということになる。

次点となるのは『週刊東洋経済』(東洋経済新報社刊)で、1895年(明治28年)11月15日創刊。当初は『東洋經濟新報』というタイトルで、旬刊(5の日発売)でのスタートだった。定価7銭。週刊(毎週月曜日発売)となるのは1919年の10月4日号からで、同誌は日本最古の週刊誌でもある。現タイトルに改題したのは1961年の新年号から。

同誌は満112歳。

これに続く主な長寿雑誌は、以下の通り。

このように、長寿雑誌のトップはいずれも100歳超えだ。各誌、100周年時には大々的に記念号を発行している。

今後、100周年を控えているのは以下の雑誌。

出版社の社名を冠した雑誌が多いが、これはその雑誌が出版社の看板として社運を共にしてきたということでもある。雑誌というのは同時代性の強い媒体だが、これら“長寿”雑誌は幾多の時代を超えて力強く生き残ってきた。雑誌の本質とはコンテンツ(情報の内容)だけではなく、その表現しようと目指すコンセプト、そしてスタイル(形式)とブランド(題号)にあるのだと、改めて考えさせられる。

なお古い雑誌の創刊年月は、資料によっては[発売日]─つまり発売された時点ではなく、第1号の[発行日]或いは[月号表示]を基準に表されている場合があるので注意が必要である。

ちなみに、今日の雑誌の起源は17世紀フランスで発行されたある書籍新刊カタログであるとされるが、本格的な定期刊行物の雑誌としては、1665年パリで創刊された『Journal des Savants』と、同年ロンドンで創刊された『Philosophical Transactions of the Royal Society of London』であるといわれている。

“Magazine”という名称を最初に用いたのは1731年1月にロンドンで創刊された『The Gentleman’s Magazine』。

日本国内では、洋学者・柳河春三が“Magazine”の訳語として“雑誌”という言葉を用い、1867年(慶應3年)10月に創刊した『西洋雑誌』が初めての本格的な雑誌といわれている。

蛇足となるが、当研究所が発行する『出版月報』の創刊は1959年6月30日(満48歳)。『出版指標年報』は1958年3月20日(満49歳)。『ニュースの索引』は1967年5月25日(満40歳)である。

出版指標年報画像
『出版指標年報』創刊号
出版月報画像
『出版月報』創刊号

メニュー