公益社団法人 全国出版協会

出版科学研究所

出科研コラム

POPの持つ効果

POP(ポップ、もしくはピーオーピー)とは、「Point of Purchase」の頭文字を取った略語で、日本語では「購買時点の広告」という意味。商品名や価格、特徴、イラストなどを紙に手書きしたものであり、スーパーマーケットや薬局、ディスカウントショップなどでよく目にすることが多い。POPひとつで店舗の売り上げを大きく左右する効果もあるため、販促ツールとして重要視されている。

書店店頭でもPOPの効果は大きく出ている。書店でPOPが大きく注目されたのは、01年からだ。千葉県の書店員、木下氏が作成した手書きPOPを発端に、刊行3年目の文庫本『白い犬とワルツを』(新潮社)がベストセラーとなった。その効果に期待した新潮社が、木下氏作成のPOPを全国の書店に配布、販促したところ、テレビでの紹介も手伝い、累計で150万部を突破するベストセラーとなった。これ以降、書店員による手書きメッセージのPOPは効果が出る、という認識が生まれていった。

以後も『世界の中心で、愛をさけぶ』(小学館)、『天国の本屋』(新潮社)などの書籍が書店員のPOPをきっかけに大ベストセラーへとつながった。

POPの利点は経費がかからず、誰にでも作れる点。店員の個性やセンス、感性に委ねられる部分が大きい。特殊な例としてはサブカル系に強い書店、ヴィレッジヴァンガードでは本や雑貨、洋服など所狭しと並ぶ商品にユニークなPOPを掲げている。

出版社や取次会社もパソコン上でPOPをダウンロードできるように提供しており、出版社作成POPに書店員が手書きしてオリジナリティを出す、といった工夫もしている。

書店では書籍やコミックス等を中心にPOPが用いられているが、点数が多く店頭で埋もれがちなムックなどにも今後、光をあてるべくPOPを工夫して活用すると意外な売れ筋が生まれるのではないだろうか。

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