公益社団法人 全国出版協会
インプレスR&Dの調査によると、電子コミックの市場が06年に初めて100億円を超えたという。電子書籍全体では182億円、その内電子コミックは106億円。電子コミックの内ケータイコミックが82億円を占めている。ケータイコミックは前年度の3.6倍という規模に達しており、依然電子書籍市場の牽引役となっていることが明らかになった。
ところで、「出版月報」07年11月号では電子雑誌の特集を組んでいるが、そこであえて採り上げなかったものがある。「電子コミック誌」だ。
Web上でコミック誌を立ち上げようという試みは、『COMIC SEED(コミックシード)!』(02年9月創刊)など早期からあった。現在は「webコミックGENZO」の『スピカ』『幻蔵』『MAGNA』(幻冬舎コミックス)、Yahoo!コミック「無料マガジン」の『FlexComixブラッド』(フレックスコミックス)や『ヒーロークロスライン』(講談社)、「eBook Japan」の『デジコミ新潮com2』(新潮社)、『TOKYOPOP』(TOKYOPOP)などが配信されている。
とはいえ、有料のもの、無料のもの、Webオリジナルのもの、紙版のあるもの、旧作を電子化したもの、アマチュア作家オンリーのものなど、サイトや雑誌によって内容は様々だ。Yahoo!コミックの「無料マガジン」などは、マガジンといいながら作品ごとに個別に更新・配信されている。同サイトにおいて“マガジン”というのは誌名、ブランド・ネームにほかならず、その意味では講談社のコミック配信サイト「MiChao!」もサイト名が誌名の役割を果たしているといえるかも知れない。
コミック誌は作品を生み出す畑。作家を発掘し作品を育て、読者に認知してもらうためにも誌名がブランドとして確立する必要がある。電子コミック誌がどのようなビジネスモデルになろうと、この点が重要となるのは紙のコミック誌と変わらない。
Web上で「ジャンプ」や「マガジン」のような一大ブランドが成立し、Webオリジナルの大ヒット作品が出てきたら、電子コミック市場はまた新たな成長の段階を迎えるのではないか。