公益社団法人 全国出版協会

出版科学研究所

出科研コラム

続々創刊、ライトノベル

いま〈ライトノベル〉が注目を集めている。〈ライトノベル〉とは、コミック・アニメ調のキャラクターが主軸となる、若者向けエンターテインメント小説のことである。

主に「角川スニーカー文庫」や「電撃文庫」といった文庫やノベルズのレーベルから刊行されているものを指すが、ヤングアダルト小説や女性向けのボーイズラブ(男性間同性愛)小説、少女小説、成人向け美少女ものなどを含めて広く〈ライトノベル〉とする見方もある。

これら少年少女向けの読み物は、かつては「ジュニア小説」「ティーンズ文庫」「ヤングアダルト小説」などとと呼ばれていた。「ライトノベル」という言葉を冠され注目を集めるようになったのは、いわゆる「オタク市場」が話題になっていたのと、04年7月に日経BPから発売された『ライトノベル読本』の影響による。

角川グループ(角川書店、メディアワークス、富士見書房、エンターブレイン)が7割を占有する市場だが、小学館「ガガガ文庫」「ルルル文庫」、竹書房「ゼータ文庫」、ホビージャパン「HJ文庫」など参入も相次いでおり、市場は依然拡大基調にある。 06年度(1~12月期)の発行・販売データは、以下の通り。

[推定販売金額]は、一昨年の04年度に比べ30%増と大きく伸びている。「涼宮ハルヒ」「彩雲国物語」(角川書店)、「灼眼のシャナ」(メディアワークス)、「ゼロの使い魔」(メディアファクトリー)など、アニメ化作品が大ヒットしたためだ。〈ライトノベル〉市場はこれら一部のメディアミックス作品が突出して売り伸ばし、市場全体を牽引するという極端な構図となっている。

また、刊行点数増加による競争激化、作家不足の深刻化といった問題もある。出版社にとって、差別化のために新人発掘とメディアミックス戦略の重要性がますます高まっている。

なお、〈ライトノベル〉を含めた《オタク》出版の市場全体については、「出版月報」07年9月号の特集「オタク出版の研究」で詳説しているので参照されたい。

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