公益社団法人 全国出版協会
TSUTAYAなど大手のレンタルビデオチェーンが、07年4月よりコミック単行本を貸し出す「コミックレンタル」の展開を本格的に始めた。コミック単行本をレンタル店でCDやDVDなどと同じように借りることが出来るサービスだ。
07年4月にはオンライン中古書店イーブックオフが、宅配型コミックレンタルサービス『コミかる』を開始した。また08年3月までにTSUTAYAは100店、ゲオは70店にレンタル事業を拡大する予定という。
業界最大手の2社が相次いでコミックレンタル事業を拡大したきっかけは、07年2月に漫画家や作家、日本雑誌協会などで作る中間法人「出版物貸与権管理センター(RRAC)」とレンタル業者の業界団体「日本コンパクトディスク・ビデオレンタル商業組合(CDVJ)」間で、貸与使用料や商品の仕入れ方法などの運営マニュアルが正式に決まったこと。今まであいまいになっていた「貸与権」が制度としてきちんと確定されたことから大手の動きが加速したわけである。RRACがレンタル使用料をレンタル業者から徴収、著作権者へ還付する流れとなっている。主要コミック出版社の大半はRRACと契約を結んでおり、商品供給は取次会社などの代行店が行っている。
また映像レンタルの主力がビデオからDVDへと移行し、店内スペースに余裕ができたことも参入の背景にある。CDやDVDと顧客層が異なるコミックコーナーを設ければ、集客効果が高まり、既存のレンタル事業にもプラスになると見ている。
レンタル料は2泊3日で1冊60~80円程度。新作は発売の1カ月後から貸し出せる決まりが設けられている。利用者は通常のCD・DVDレンタル店では少ない30代半ばの主婦層などが目立っているという。新古書店や漫画喫茶との競合も予想されるが、既存のコミック読者とは違う新しい市場を切り開いていく可能性がある。
書店での新刊が売れなくなるのでは、という危惧もあるが、旧作でかつての読者を掘り起こし、新作も気軽に試読してもらい、書店への来店回数や販売の増加を目指すといったプラス要素も注目されている。