公益社団法人 全国出版協会
出版物(書籍・雑誌)は、奥付や表4に[発行年月日]が記載されている。しかし実際の[発売日](出版物を発売する期日)は、これと必ずしも一致していないのが現状である。書籍では[発売日]の2週間~1ヶ月先、雑誌では1~2ヶ月先の日付となっている例が多い。
普通に考えれば、[発行](出版物を印刷し公衆に頒布できる状態にすること)が、[発売]の後になることはあり得ない。なぜこのようなことが起こるのか。
これは、本の“鮮度”をアピールすることが狙い。[発行年月日]の記載は法上の義務ではなく、出版社の独自裁量に任されている。そのため、実際の発行日よりも先の月日を記載して、本が古く見えないよう工夫しているのである。
また、書籍や一部の雑誌(不定期誌)には明確な[発売日]というのがない。本の[発売日]というのは、厳密には“出版社から取次に搬入されて以降(※1)、小売店店頭に陳列された時まで”を指すことになるからだ。さらに、本が小売店店頭に並ぶまで、地域によって最大1週間の差が生じる。そういった曖昧さを回避する意味でも、[発行年月日]は発売時点より先の日付に設定されているのである。
雑誌(定期誌)については、日本雑誌協会の「雑誌作成上の留意事項」2001年改訂版で月号表示(発行月日と同義)について以下のように定められている(自主基準)。
なお、日本の出版物の書誌データは奥付に付された[発行年月日]を収集の基準としている。だが、前述した通り[発行年月日]は、その本の正確な[発行日][発売日]を表してはいない。つまり書誌データ上では、その本がいつ発行されたのか、おおよそでしかわからないことになる。残念ながらデータとしての有効性は疑問視せざるを得ない。
ちなみに雑誌には[巻数(※2)][号数]といった[刊行番号]が付されており、書誌データの収集対象となっているが、これも[発行年月日]と同様、法上の義務がない“慣行”でしかない。
※1)これを業界では「搬入発売(日)」と呼ぶ。小売店店頭には並んでいないが、取次搬入された時点で実質的に流通可能となるためだ。これに対し、店頭に並んだ時点を「店頭発売(日)」という。
※2)[巻]は書籍の場合、書籍を数える単位として用いられるが、雑誌のような定期刊行物の場合、[巻]は年度の単位として用いられる。