公益社団法人 全国出版協会

出版科学研究所

出科研コラム

ベストとロングとミリオン

商品の売れ行きを表すのに、ベストセラー、ロングセラー、ミリオンセラーといった言葉がある。書籍においても頻繁に使用される表現で、当研究所が発行する「出版月報」や「出版指標 年報」などにも度々登場している。この3つはそれぞれ違う状態を表す言葉なのだが、最近は混同される例も多いようだ。

ベストセラーは、「一定期間に特定の書店で売れた本」と考えると良い。大抵の場合ベストセラーはランキング表で発表され、「今週のベストセラー ○○書店調べ」と言うように、いつ、どこで売れたものなのかも明示されているはずだ。

調査期間別では週間ベストセラー、月刊ベストセラー、年間ベストセラーなどがある。販売データがリアルタイムで取れるオンライン書店などでは、時間毎のベストセラーを発表している例もある。同じ調査期間であっても、誰が(どこが)集計したかによって、ベストセラーの内容は変わってくる。例えば、ターミナル駅の駅ビルにあるA書店と、郊外型大型書店のB書店では客筋が違い、本の売れ行きも当然違うからだ。

このため、絶対的なベストセラーというものは存在しないが、全国の書店の販売データを持つ大手取次の発表するベストセラーが最も平均的なものと言えるだろう。

当研究所が発表するベストセラーもこの大手取次のデータをもとに、書店店頭の販売状況など、様々な付帯状況を加味して決定している。

次にロングセラーだが、これもはっきりとした基準はない。要は「長期間に渡って売れ続けている本」のことだ。この長期間という解釈が人によって異なるため、ロングセラーの基準も曖昧だ。以前は数年単位で売れるものを指したが、新刊に販売の比重が移ってからは、半年程度売れ続ければ、ロングセラーと呼ばれる事が多いようだ。

またこのロングセラーも、ジャンルによってその「ロングさ」が違ってくる。最も長期間売れるのは流行り廃りのない本。名作文学や絵本、偉人の人生訓などがその代表例と言えるだろう。ちなみに、全世界で最も売れている本であり、最長のロングセラーは聖書だと言われている。

ミリオンセラーとは100万部売れた商品ということだ。一般的には1年間(例えば2007年1年間)で100万部超となった書籍をミリオンセラーと言う。新刊として発売され、その年に100万部超となる書籍は、年に数点あるかないかというレベル。

しかし最近では、一度人気に火がつくと一気に部数が跳ね上がるため、ミリオンセラーが出やすい状態にある。

メニュー