公益社団法人 全国出版協会

出版科学研究所

出科研コラム

新スタイルの書店

昔ながらの古本屋街ではなく、渋谷や中目黒、代官山といった若者層の集まるエリアにさほど広くない空間ながらも、セレクトされたこだわりの品揃えが読者の興味を呼び起こす新しいスタイルの書店が増えている。

代表的な書店として「ユトレヒト」(中目黒)や「フライングブックス」(渋谷)、「COW BOOKS」(青山、中目黒)、「BOOK246」(青山)などがある。

これらの店は新刊・古本、和書・洋書の区別をせず、店主独自のセレクトで揃えた商品構成が特徴。本のセレクトショップともいえる。

「ユトレヒト」はオーナーの江口宏志氏の自宅でオンラインショップとしてスタートしたが、在庫が増え、手狭となったことからまず代官山のアパートの一室に02年オープン。その後、移転し、現在は中目黒にて予約制のショップとして営業している。絵本や写真集、グラフィック、小説、展覧会のパンフレットなど、江口氏が面白いと感じた本を新旧問わず世界中から集めている。

「COW BOOKS」は雑誌『暮しの手帖』の新編集長に就任した松浦弥太郎氏がオーナー。

もともと松浦氏は移動書店として自動車で古書の販売を行っていたが、中目黒に02年に店を構えた。60~70年代の古書や雑誌などを中心に扱っている。洋服店などが連なる目黒川沿いという好立地もあり、古書を扱っていながらも、店内は若者層で賑わっている。

「BOOK246」は旅をテーマに、旅行ガイド、エッセイなどの書籍や雑誌だけではなく、ステーショナリーや洋服、雑貨なども販売している。「フライングブックス」は渋谷の古書センターの2Fにある、バーカウンターも併設された異色の古書店だ。

全ての店が一見すると雑貨屋のようで、一般的な書店とは異なるオシャレな空間作りを行っている。“本をどう面白く見せるか”に各店こだわっているのだ。

従来の書店とは違った自由な発想で本を捉えたこれらの店は、店主も30代前後の比較的若い人たちが立ち上げている。単に本を買う行為以上のものにこだわったこれら新スタイルの店の動きには、今後も注目だ。

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