公益社団法人 全国出版協会

出版科学研究所

出科研コラム

新タイプの子育て雑誌、増加

児童誌や学年誌、育児誌など、子どもに関する雑誌の市場は少子化の影響を受けて縮小が続いている。そうした中、これまでにない新タイプの雑誌が登場し、部数を伸ばしている。『日経キッズプラス』に代表される、家庭教育誌だ。

『日経キッズプラス』は日経ホーム出版社より、05年10月に創刊された(発行部数7万部)。従来の児童向け読み物誌や育児実用情報誌と一線を画しているのは、親子のコミュニケーションに比重を置き、“ママ”だけでなく“パパ”もターゲットとした点である。核家族化が進んで子育て環境がドライになり、児童犯罪や教育問題の多発など、子育てに不安を抱える親は多い。むしろ子育てに対する関心は高まっており、家庭教育誌はそうしたニーズを突いた雑誌だ。

こうした子育て中の親を対象とした家庭教育誌には『エデュー』(小学館、06年3月創刊、8万5千部)、『プレジデントFamily』(プレジデント社、06年7月創刊、25万5千部部)、『AERAウィズキッズ』(朝日新聞社、07年3月創刊、推定7万5千部)などがある。特に『プレジデントFamily』は子どもの学力・学歴に焦点を当てた、いわば家庭教育マネジメント誌で、読者の反応も大きかった。

ほかに、児童関連誌の新機軸としてコーチング誌というのもある。『中学野球小僧』(白夜書房、05年6月創刊)、『中学バスケットボール』(同、06年11月創刊)、『ジュニアサッカーを応援しよう!』(カンゼン、06年6月創刊)などが刊行されており、読者は部活動性とその保護者、コーチだ。これも従来のスポーツ誌、実用テクニック情報を掲載する競技誌や観戦ガイド誌とは異なって、子どもとスポーツを楽しむという内容。部数は2~3万部という規模だが、手堅く売れている。

こうした新雑誌の登場は、親の子育て意識が変わってきたことを反映している。最大の特徴は、パパたちが読者となっていること。ビジネスの第一線で格差社会をヒシヒシと体感している父親層の子育て参加意識が顕著となっている。家庭教育誌はまさに、いまの世相を反映した雑誌だといえよう。

(注)部数に推定とついていないものは、日本雑誌協会「マガジンデータ2006」による05年9月~06年8月期の印刷証明部数。

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