公益社団法人 全国出版協会

出版科学研究所

出科研コラム

本の[流通点数]

いま、国内で出版されている本の点数というのはどれくらいあるのかでしょうか。

出版業界のデータベースには220万点もの書誌データが登録されています。しかし、その全てが“入手可能な本”というわけではありません。多くの本が[絶版]になるなど、入手不能となっているからです。

“入手可能な本”のデータベースに、日本書籍出版協会の「books」(http://www.books.or.jp/)があります。これによると“入手可能な本”の点数、つまり[流通点数]は07年2月時点で77万点となっています(非売品除く、雑誌扱いのコミックス単行本および一部ムック含む)。「books」の点数は年およそ4万点のペースで増加しており、07年度中には80万点の大台に乗ると見られます。

しかし当研究所の統計では、書籍にコミックス単行本とムックを合わせた[新刊点数]は年間9万点を超えています。ということは、差し引き5万点が毎年“入手不能な本”になっているとわかります。数年前までは、年間で約4万点が“入手不能になる”と業界ではいわれていましたが、年々絶版になる割合は高まっているといえます。

ところで入手不能となる本は、厳密には2種類に分けられます。ひとつは[絶版]、もうひとつは[品切・重版未定]です。

[絶版]は原版の破棄、出版権の消失を伴うもので、出版社からその本が完全に出なくなることを意味します。

一方[品切・重版未定]は、[絶版]となってはいませんが、品切れとなった本に重版(増刷)がかかる予定がないことを意味します。本が入手不能となることを一般的に[絶版]と呼ぶことが多いですが、実質には[品切・重版未定]であるという場合も少なくありません。そういった本は現在入手できなくても、今後重版されて入手できるようになる可能性があるわけです。とはいえ、出版社が出版権を保持するため、重版予定がなくとも[絶版]にしないケースもあり、[絶版]か[品切・重版未定]かの境界線は曖昧になってきています。

日本書籍出版協会は出版社から情報提供を受け、データベースを日次更新していますが、その中で入手不可能と判明した本は[長期品切]とし、「books」から削除しています。同協会では「books」の精度・利便性をさらに高めるため、迅速な情報提供を出版社に呼びかけています。

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