公益社団法人 全国出版協会

出版科学研究所

出科研コラム

本のイメージ 装丁とは

書店に入って真っ先に目に入るのが平台に置かれた色とりどりの本たちです。平台とは文字通り平らな台で、その書店一押しの新刊本が並んでいます。

置かれた本にはそれぞれ独自の表情があり、それを眺めるのも本好きの愉しみです。

このような書籍のカバーや表紙、帯や扉や外箱などのデザイン、または造本の一連の工程を「装丁(そうてい)」と呼んでいます。「そうてい」の漢字の充て方は様々で装幀、装釘、装訂とも表記されます。

「装丁」が一般的に、書籍の外回りの表層に限定したデザインを指して使われるのに対し、「ブックデザイン」(「造本」という場合もある)は、本のテキストにふさわしい本文組版の体裁を含めたトータルな製本作業を指していいます。

また装丁を担当する専門家は「装丁家」と呼ばれています。代表的な人物は杉浦康平や原弘、粟津清、菊池信義、平野甲賀など。最近は、グラッフィクデザイナーが装丁を手がける場合がほとんどで、『負け犬の遠吠え』(講談社)の装丁を手がけた佐藤可士和などが注目されています。

出版不況のため、発注先である出版社はデザイン料のコストを削減するため、社内の装丁室でデザインをすることが多くなってきています。ただしその一方で、良質なデザインをする有名装丁家には各出版社から仕事が殺到しているのが現状です。

読者が思わず手にとって見たくなったり、本の内容を視覚に訴えかける効果を持つ装丁。デザインの出来不出来によって、本の売上を大きく左右することもあり、その影響力は侮れません。

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