公益社団法人 全国出版協会

出版科学研究所

出科研コラム

オンリーワンの国際派「ISBN」

本の裏表紙に印刷されている数字列ISBN。この存在をご存知の方は多くても、数字を読み解ける方は少ないのではないでしょうか。今回はこのISBNについてお話しましょう。

ISBNは「どの国の、何という出版社が、何というタイトルで刊行したのか」を、数字で表したものです。これは、世界中で刊行されている膨大な本を管理するために定められた国際基準で、正式にはInternational Standard Book Number(国際標準図書番号)といい、ISBN国際センターが統括しています。日本は1981年にこの国際団体に加盟しました。

ISBNはハイフンで繋がれた4つの要素(国番号-出版社番号-書名番号-C/D)で成り立っています。最後のチェックデジット(C/D)とは、ISBNが正しいかどうかを検算するための数字で、これは固有の(複雑な)計算式により求められる数字です。ISBNは、日本では日本図書コード管理センターという機関が管理しています。

具体例で見てみましょう。例えばあのベストセラー『ハリー・ポッターと謎のプリンス』のISBNは「4-915512-57-6」です。これを読み解くと、4が日本の国番号、915512が静山社の出版社番号、57が『~謎のプリンス』固有の番号、6がC/Dとなります。同じ『~謎のプリンス』でも原書(英国Bloomsbury社、Children’s Editionのハードカバー版)の場合、ISBNは「0-7475-8108-8」。0がイギリスの国番号、7475がBloomsburyの出版社番号、8108が『~謎のプリンス』固有の番号、8がC/Dとなります。全く違いますね。

さてこの国際基準のISBNですが、07年1月1日から13桁に変わります。英語圏諸国(国番号が0と1の国々)で出版社番号が不足し始めたため、国番号の前に978(978が払底した場合は979)をつけようという事になりました。日本でも東京都内の電話番号が不足したため市内局番が3桁から4桁に変わったことがありましたが、それと同じ原理です。例えば先ほどの『~謎のプリンス』の場合は、「4-915512-57-6」が「978-4-915512-57-5」と変わります。

本を読む上では意識しないISBNですが、本屋さんで本を注文する時も、ISBNさえ分かっていればデータベースから本の特定が可能です。

一見ただの数列に見えるISBN、実は国際派のオンリーワンという優れモノだったのです。

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