公益社団法人 全国出版協会

出版科学研究所

出科研コラム

いまコミックはどうなっているのか

出版科学研究所で統計をとっているいわゆる「漫画」といわれるものには、コミックス(漫画単行本)とコミック誌(雑誌)の二つの分野があります。また、この二分野を総称する時は「コミック」と呼んでいます。

コミックスとは、『ドラえもん』や『ONE PIECE』など多くが1巻、2巻と巻数もので刊行されている単行本。コミック誌は『週刊少年ジャンプ』や『りぼん』など定期的に刊行されている漫画雑誌です。

コミック誌は『週刊少年ジャンプ』(推定280万部)を筆頭に大部数誌が多く、95年の販売金額(売り上げ)はコミック誌3,357億円、コミックス2,507億円とその売り上げの差は1,000億円近くに及んでいました。しかし『週刊少年ジャンプ』や青年コミック誌の大幅な部数減、少子化、作品力の低下、など様々な要因が絡み、コミック誌の部数は年々大幅に減少していきました。2005年は販売金額が初めてコミックスを下回るほどの落ち込みでした。

そんな中、最近目立つのは、コミックスのメディアミックス現象。コミックス原作を題材にTVアニメ化、映画化する動きがここ数年非常に増加しています。特に05年は少女コミック『NANA-ナナ-』が実写映画化をきっかけに大ブームを巻き起こしたのは記憶に新しいところです。06年現在も『のだめカンタービレ』や『DEATH NOTE』が実写化され、大人気となっています。

以前はコミック誌が果たしていた新しい作品を紹介する機能は、TVや映画などのメディアへと徐々に移行しています。コミック誌を定期的に買わない読者が増えた結果、TVなどからこんな作品があるんだ、と新たに作品を知る読者が多くなっているのです。

もはやコミックスはメディアミックスなしでは、大きく売り伸ばせない状況となっています。メディアミックス効果でコミックス1作品は年間1千万部単位の売り上げとなります。コミック誌で新作を有力作へと定着させ、さらにメディア化でアピールし、コミックスを売り伸ばしたいというのが出版社の考えです。しかし、作家不足や作品力の低下もあり、新たな有力作品がなかなか生まれにくくなっているのが現状です。

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